9月1日(愛媛県内子町→大分県佐伯市)

 壊れた荷台は祖父に修理してもらった。金属で折れた部分を新しくつくってもらったのだ。ちょっと強度的には落ちそうだが、けっこうしっかりとつけてくれたのでここから鹿児島県の佐多岬に走るまでなら大丈夫だろう。タイヤも磨り減っていたので一本だけ交換した。それまではタイヤは前後とも赤のスリックタイヤ(でこぼこのないタイヤ)をつけていたのだが小さな町の自転車屋に同じ物が置いてあるはずはなく注文する程の時間もないので、黒いブロックタイヤをつけることになった・・・。見かけは悪いが、途中で走れなくなるよりはいいと妥協する。

 実家といえども通過点に過ぎないと思ってたが、のんびりと4泊もしてしまった。。。

 今日はフェリーを使って九州の臼杵市に渡る予定だ。実家を出たのは10時くらいだった。西に進み八幡浜港を目指すがこの周辺は車でもよく走っているところで別に目新しさはない。難なく八幡浜市の手前まで来たがここに一カ所難所がある。八幡浜市と隣の大洲市の間にある夜昼トンネルだ。この旅で最長のトンネルとなり3キロほどあり車でもちょっと嫌になるようなトンネルだ・・・。覚悟してトンネルに入った。こんなトンネル歩いて通る人など想定されているはずもなく狭く濡れてる歩道をゆっくりと走った。早く抜けたいが横を車が頻繁に走っていて危なくて速度が出せない。思いっきり排気ガスを吸いながら10分以上かけてトンネルを抜けた。抜けたところで思わず立ち止まって深呼吸をした。

 トンネルを抜けると八幡浜の市街地付近までは一気に坂で下れる。八幡浜港に着いたらすぐに乗船手続きをすませ、コンビニにお昼ご飯を買いに行って乗船開始を待った。フェリーに乗ると夏休み明けのせいかがらがらで一区画に2、3人ほどしかいなかったのでご飯を食べると横になり寝てしまった。起きたのは臼杵到着10分ほど前だった。

 接岸するとすぐにフェリーから自転車を押して降りた。もうここからゴールの鹿児島県佐多岬までは陸続きだ!臼杵市からは鹿児島に向かって南下することになる。地図を見て今日の目的地は40キロ程離れた佐伯市に決め、臼杵市からは海岸沿いの県道で隣の津久見市まで向かうことにした。海岸沿いの道は広くないものの平坦で走りやすかったが、すぐに海岸から離れ山道になった。ぐねぐねと山道を上がり峠にたどりついたがそこにはかなり不気味なトンネルが待ちかまえていた。一車線で全くトンネル内にライトがないのだ。長さは200メートルもないのだが、自転車の弱々しい明かりと出口の明かりだけを頼りに走るのはマジで怖かった・・・・この旅の中で一番恐怖を感じたトンネルだった。今日は距離は走ってないのに嫌なトンネルばかりの日だ。臼杵市と津久見市の間には山の中をほぼ一直線で結んでいる国道があるようなのでこちらを通ればよかったと猛烈に後悔した。しかしそのトンネルを抜けると下り坂ですぐに津久見市に行くことが出来た。津久見市からは海岸沿いの国道217号線を佐伯市まで走った。途中海沿いで人気がなく心細い所もあったがなんとか7時過ぎには佐伯市に着いた。

 佐伯市では野宿する予定だったのでまずは野宿出来そうな場所を探すことにした。駅の周辺や公園、フェリーターミナルなどを回った結果、適度に明かりがあり夜は通行人がいなくなりそうなフェリーターミナルの近くの公園のベンチで寝ることに決めた。次にお風呂に入りたくなったので、タウンページで銭湯を探した。駅の近くのホテルのサウナが宿泊者以外でも入れるようだったが、ちょっと高かったので駅から2キロ程(だったと思う)離れた銭湯に行った。かなり小さな銭湯で探すのに苦労したが、安くて気持ちのいいお風呂だった。

その後商店街の小さなラーメン屋でラーメンを食べ、今日の寝床に決めた公園に向かった。実家では今日の朝まで布団で寝ていたのでひさしぶりのシュラフでの野宿はちょっと寝心地が悪かったがすぐに寝てしまった。

しかし2時位に突然起こされた。雨が降り出したのだ。夕方はそれほどお天気が悪くなかったので屋根のないベンチで寝ていたのだがいつの間にか雲が出ていたようだ。幸い公園の中に屋根のついた休憩所があったのでそっちへ移ってまたすぐに眠ることが出来た。

本日の走行距離100キロ 宗谷岬からの距離2377.7キロ