9月4日(鹿児島県根占町→鹿児島県佐多岬)

 いよいよこの日が来てしまった。この一ヶ月ほどの集大成と言える日である。しかし、朝宿の人の話を聞いてショックを受けた!佐多岬の先端までは自転車で行けないというのだ・・・・。地図をみて、佐多岬の少し手前から佐多岬ロードパークという有料道路になっているのは知っていたがその部分も自転車で走れるものと思いこんでいた・・・・。車やバイクは有料で通れるものの徒歩やチャリは手前でバスに乗り換えないといけないらしい(泣)しかも朝携帯を使おうとしたら、ジョグダイヤルが反応しなくなっていた・・・。2、3日前からジョグダイヤルの調子が悪かったのだが、よりによって今日お亡くなりになるとは・・・。これではメールも電話も出来そうにない・・・。

かなりやる気をそがれて、ユースを出たのはちょっと遅めの10時前だった。先端まで走れないのはかなり悔しいがここまで来たのだから佐多岬の先端は拝まなければならない。国道269号線をまた走る、海沿いだが相変わらずアップダウンの続く道だった。ここまで走っていた日数は実質20日、距離計は2700キロをさそうとしているので一日平均135キロほどを走っていた事になる。数字にしてみれば意外と短いというのが正直な感想だけど、この間に体験してきたことは果てしなく、思い出は山ほど出来た。

 佐多岬のある町、佐多町の中心にあったスーパーで飲み物を補給した。国道269号線は佐多町の中心部で終わりとなりこの先は県道となる、道が狭くなり一車線の所もあった。海からそう離れてない半島の先端なのだが地形は地図で見るよりはるかに険しく、押して上がりたくなるぐらいだ。県道を走り初めて10キロくらいで大泊という集落に着いた。ここで自転車は終了だ・・・。でも駄目もとで料金所の人に通れないか聞いてみたがやはり、NOで向こうの空き地に自転車を止めてバスを待つように言われた。自転車での日本縦断は意外とあっけないが、まだ本土最南端を見なくてはいけない。

 バスまで一時間ほどあったので近くにあったホテルに入ってお土産など見たがとくに欲しい物はなかった。先ほどの料金所の近くからバスは乗れた。バスは恨めしい料金所ゲートをくぐり佐多岬ロードパークへ入った。2車線なものの道は狭くカーブも多い。確かにこんな所を自転車や人がへこへこと通っていたら少し危険な気もする・・・。もっとも交通量は極めて少ないのだが・・・。帰りのバスの中で運転手さんに聞いた話によるとこの有料道路は私有の道路なのだそうだ。その道路の所有する会社とこのバスの運行している会社は同じグループ企業・・・・なるほどええ商売してますなぁ・・・。

 バスは終点の駐車場に到達した。すぐ先にトンネルが見え、佐多岬の先端まではここから10分ほど歩かないといけないらしい。トンネルの入り口でまた入場料100円取られた・・・・。トンネルを抜けると人しか歩けない、坂の砂利道が続いている。しかし日本最北端の宗谷岬とは正反対だ。宗谷岬は平地にありバイクや車でかなりにぎわっている、一方佐多岬はこれでも本土最南端かよと言いたくなるくらい人が少なく地形が険しい、さらに行ったときは雨が降りそうな上に霧や風まである。どちらかと言えばあまりにも人出が多い宗谷岬より、佐多岬の方が好きな気がする。やたらお金取られることを除いたらだけど・・・・。でも最北端と最南端・・・正反対に位置する物を比べるのもおかしいかもしれない。旅の最後で大凶とかひいたらへこむな〜と思いながら途中おみくじをひいたら大吉とでてちょっと嬉しい。

佐多岬やっ!
 やがて展望台に到達した。展望台もなかなか寂しい雰囲気だ・・・色あせている上にいろんな人のメッセージが書かれていている。展望台の薄暗い階段を上がり上に上がるとガラス張りで一面が見渡せた。本当の先端はまだ先に灯台があるが今行ける最南端はここまでらしい。出発したときは3日で挫折するんじゃないかと自分でも本気で思っていたがとうとう来るべき所に到達することが出来た!疲れたが一生の思い出に残る旅となった事は間違いない。

 途中何度も、自転車で旅する人ってなんでわざわざしんどい思いをして旅を続けるのだろうと自問自答しながら走った時もあったが、この達成感と、いろいろな人と出会いを得るためだったと思えば自分的には納得出来るし来てよかったと思う。

本日の佐多岬までの走行距離33キロ 宗谷岬から佐多岬までの距離2705.8キロ